研究内容

研究内容

枚田研究室では、次世代移動体通信 6G での利用が検討されている超高速テラヘルツ無線通信技術や地下配管点検用ロボットとの広帯域通信を可能にする埋設管管壁を媒体とした MIMO 通信技術、膨大なセンサデータを無線センサネットワークにより収集し、機械学習により解析することにより新たな価値を創出する IoT (Internet of Things) 技術など、様々な研究を行っています。以下に、枚田研究室の主なテーマを示します。

・近接テラヘルツ無線通信技術

・6G移動体通信に向けたテラヘルツ帯アンテナ・伝搬評価技術

・埋設管管壁を媒体とする点検ロボット用MIMO無線通信システムの研究

・インフラ保守の高度化を実現する無線センサネットワーク技術


近接テラヘルツ無線通信技術

4Kや8Kなどの高精細映像の普及に伴い、スマートフォンやタブレットでの4K/8K映像ストリーミングやダウンロードを瞬時に行う無線通信技術に対するニーズが増えております。の普及や、HD(高精細)映像などの高品質なコンテンツの流通などにより、ネットワークを流通するデータトラヒックの量は飛躍的に増大しています。周波数 100 GHz 以上のテラヘルツ波は、100Gbps を超える超高速無線通信を実現する手段として注目されています。テラヘルツ帯を使用すれば、非接触で4K や 8K の映像データを瞬時に携帯端末にダウンロードすることが可能になります。また、テラヘルツ帯の電波を誘電体シート内に閉じ込めて伝送すれば、シートの上にノートPCやタブレットを置くだけでLAN接続を可能にする 100 Gbps シートLANが実現できます。
これらのアプリケーションを実現するデバイスがメタマテリアルです。メタマテリアルは、電磁波の波長よりも細かな構造体を利用して,物質の電磁気学的な特性を人工的に操作した疑似物質です。本研究室では、誘電体基板上に形成したメタマテリアルを使用したテラヘルツ帯の電波吸収体や可変フィルタ、高効率アンテナを開発し、これらのメタマテリアルを利用した超高速近接テラヘルツ無線通信システムの研究を行っています。

・メタマテリアルを使用したテラヘルツ帯受動デバイス(電波吸収体、可変フィルタ、アンテナ、等)

・テラヘルツ帯低損失誘電体導波路の検討

・テラヘルツ帯を使用した 100Gbps 級非接触通信システムおよびシートLANシステム



6G移動体通信にテラヘルツ帯アンテナ・伝搬評価技術

2020年の5G 移動体通信サービス開始を受けて、次世代の移動体通信:6Gの研究開発が活性化しています。6Gでは,100Gbps~1Tbpsの目標通信速度を達成する方法の1つとしてテラヘルツ波の利用が検討されています。6Gにおけるテラヘルツ帯無線の実用化には、この周波数帯で適用可能なアンテナや電波伝搬モデルを構築し、それらのモデルを用いて、無線システムの回線設計や、近接して配置された無線局間の干渉を推定することが重要です。しかし、これらのアプリケーションごとのアンテナ・電波伝搬モデルについての検討は、テラヘルツ帯におけるアンテナ特性や電波伝搬特性が技術的に困難であったため、これまでほとんど行われていませんでした。特に、テラヘルツ帯電波は波長が短く、水分による吸収も大きいため,マイクロ波帯では問題とならなかった微細な建材の表面粗さや人体や樹木による遮断や回折,が伝搬特性に大きな影響を与えます。
本研究室では、これらの伝搬特性の評価を可能にするため、300 GHz 帯無線機を試作し、実験試験局免許を取得しました。さらに、アンテナ特性・電波伝搬特性の自動計測系を構築するとともに、各種伝搬実験を実施し、ユースケースごとの伝搬特性データの蓄積を進めています。

・電波伝搬評価用 300 GHz 帯無線システムおよび高速電界計測システムの開発

・300GHz帯アンテナ放射パタン計測システムの開発

・ユースケースに対応した300GHz帯電波伝搬特性評価およびそのモデル化

埋設管管壁を媒体とする点検ロボット用MIMO無線通信システムの研究

近年、水道管やガス管などの埋設管の老朽化が社会課題となっています。地上からでは点検ができない埋設管内部の点検にロボットの利用が検討されていますが、ロボットとの通信を有線で行った場合、有線ケーブルがロボットの移動の障害となります。また、径が小さい埋設管内はマイクロ波帯の電波の伝搬損失が大きいという課題がありました。本研究室では、埋設管の管壁に電波を閉じ込めて制御信号を伝送する方式を検討しております。本方式によれば、管内部を伝搬させるより 20 dB 以上低損失で伝送可能であることを確認しました。また、送信アンテナ、受信アンテナを複数使用した Multi Input Multi Output (MIMO) 通信方式の導入による通信容量の拡大を検討しております。

・埋設管管壁を媒体とした RF信号伝送特性の評価およびモデル化

・MIMOシステム導入による通信容量増大の検討

インフラ保守の高度化を実現する無線センサネットワーク技術

あらゆるものにセンサがつけられ、それらのセンサから得られたビックデータから、人工知能が “新たな価値” を創出し、現実の社会にフィードバックする、IoT 社会の実現が近づいてきています。しかし、このような社会を実現するには、「データ量の爆発的な増加」、「センサへの電力供給」、「データ転送の遅延」等の課題を解決する必要があります。本研究室では、インフラ設備の劣化度をセンサデータを機械学習により解析するとともに、インフラの劣化度を無線センサネットワークのルート決定に用いられるコストに反映することにより、無線センサーネットワーク全体の省電力化を実現する手法の研究を行っています。

・LPC解析(線形予測分析)と機械学習によるインフラ設備の劣化度判定

・インフラの健全性をルート決定に用いるコストに反映させた無線センサネットワークルーティングプロトコル